七五三のお参り当日、その後の「ご飯(食事会)」をどうするか、そして「服装」をどうするか。この二つは、七五三を迎えるご家族にとって、切っても切り離せない大きな悩みですよね。
晴れ着である着物(和装)で臨みたいけれど、食事で汚してしまったらどうしよう。特にレンタル品だったら心配です。かといって、子供や親が洋装(スーツやワンピース)だと、お祝いの雰囲気が出ないのでは?と悩んだり。また、母親や父親、祖父母など、親の服装の格をどう合わせるか、ホテルや料亭、それとも自宅など、どこで食事会をするかによっても、準備が変わってきます。
当日のスケジュール(お参りと食事会を別日にするか、同日にするか)も含め、考えることが山積みで、私も子供の七五三の時にはずいぶん悩みました。食事会での着替えのタイミングや、万が一の汚れ対策まで、事前に決めておかないと当日は慌ただしくなってしまいます。
この記事では、七五三のご飯と服装に関する悩みを解決するために、服装の基本マナーから食事会の場所選び、そして最大の難関である「汚れ対策」まで、私の経験も踏まえながら、順を追って整理していきます。
- 家族全員の服装選びで失敗しない「格」の合わせ方
- 食事会の場所(ホテル・料亭・自宅)別のメリットと注意点
- 晴れ着(和装)のまま食事をする場合の具体的な汚れ対策
- 万が一汚した時のNG行動と正しい応急処置
本記事の内容
七五三のご飯と服装、基本マナー
まずは、七五三当日の服装選びと、食事会の場所選びに関する「基本」を押さえておきましょう。当日の家族写真がちぐはぐな印象にならないためにも、食事会で慌てないためにも、この基本ルールがとても大切です。

家族で揃える服装の「格」とは
七五三の服装で最も重要なのは、家族全員の「格(かく)」、つまりフォーマル度を統一することです。これは単なるマナーの問題だけでなく、当日の記念写真という「最終的な成果物」の調和をデザインする、という視点でもあります。主役のお子さんを囲む家族全員がちぐはぐな服装では、せっかくの晴れ姿も台無しになりかねません。
この「格」の統一は、家族が一体となってお子さんの成長をお祝いしているという、周囲への敬意の表れでもあります。守るべきルールは、主に以下の3点です。
服装選びの絶対原則:3つの「格」のルール
- 主役は子供。大人は子供より「格下」の服装を選ぶ
主役はお子さんです。
両親や祖父母が、お子さんより目立ったり、格上の服装になったりするのはマナー違反とされています。
例えば、お子さんが洋装(スーツやワンピース)なのに、お母様が格上とされる訪問着(和装)を着ると、バランスが崩れてしまいます。この場合、親も洋装を選ぶのが自然です。 - 両親(夫婦)で「格」を揃える
家族全体の調和が大切です。
特にご両親(夫婦)の「格」は必ず合わせましょう。
例えば、お母様が訪問着(和装)なら、お父様はブラックスーツやダークスーツ。お母様がセレモニースーツ(洋装)なら、お父様もスーツ、といった具合に「格」を合わせます。 - 祖父母は、両親よりもさらに控えめに
祖父母様が参加される場合、ご両親と同等、あるいは一歩控えめな服装を選ぶのが一般的です。
お孫さんの晴れ姿を引き立て、ご両親(我が子)を立てる、上品な装いが素敵ですね。

特に両家の祖父母様が揃う場合は、注意が必要です。片方の祖母様が訪問着、もう片方の祖母様がスーツ、となると気まずい雰囲気になりかねません。事前にご両親から「今回は洋装のセミフォーマルで揃えましょう」といったように、服装の方向性を伝えておくと、当日のトラブルを防げます。
子供の服装 和装と洋装の選び方
主役のお子さんの服装は、伝統的な「和装」と、現代的で動きやすい「洋装」の二択です。どちらを選んでもマナー違反ではありませんので、ご家庭の方針や、後述する食事会のスケジュールに合わせて選ぶのが良いでしょう。
和装(伝統的な正装)
七五三ならではの華やかさがあり、写真映えも抜群です。七五三は、古来の儀式に由来しており(出典:神社本庁『七五三』)、年齢ごとの伝統的な装束があります。
- 3歳(男女):「髪置(かみおき)の儀」由来
帯を締めない「被布(ひふ)」と呼ばれるベストのような上着を着るスタイルが特徴です。
締め付けが少なく、まだ体力の少ない小さなお子さんでも比較的楽に着られます。 - 5歳(男子):「袴着(はかまぎ)の儀」由来
初めて袴を着用する儀式に由来し、凛々しい「羽織袴(はおりはかま)」が正装です。 - 7歳(女子):「帯解(おびとき)の儀」由来
それまでの紐付きの着物から、大人と同じ幅の広い帯を締める儀式に由来し、華やかな「四つ身の振袖」を着用します。
ただし、和装は着慣れないお子さんにとって負担が大きく、特に食事会での汚れリスクが最大の懸念点となります。
洋装(現代的な選択)
男の子はスーツやタキシード、女の子はフォーマルなドレスやワンピースとボレロのアンサンブルといった洋装も人気です。近年は、和装の負担や予算、その後の食事会(ご飯)までを考慮し、洋装を選ぶご家庭も増えています。
洋装のメリットは、和装に比べて動きやすく、お子さんが嫌がりにくい(苦しくない)点、そして何より食事会(ご飯)の際も比較的安心できるという実務的なメリットがあります。
ハイブリッド戦略もおすすめ
この和装の「伝統」と洋装の「実用性」のジレンマを解決する最適解として、「お参りや写真撮影は和装で行い、食事会は洋装に着替える」という方法も、お子さんの負担と汚れのリスクの両方を軽減できるため、とても合理的でおすすめの選択肢です。

母親の服装 スーツとワンピース
お母様の服装は、選択肢が最も多い一方で、全体のバランスを決定づける重要なポジションです。基本は「子供より控えめ、かつ上品なフォーマル」です。
和装(訪問着、付け下げ、色無地)
お子さんが和装の場合、お母様も和装を選ぶと、非常に格調高く、統一感が出ます。その場合、TPOに合わせた着物の種類を選ぶ必要があります。
- 訪問着(ほうもんぎ):
最も格上ですが、主役のお子さんより控えめな柄を選ぶ配慮が必要です。 - 付け下げ(つけさげ):
訪問着に準ずる格で、柄が控えめなため、七五三の母親の装いとして非常に適しています。 - 色無地(いろむじ):
一つ紋を入れると格が上がり、お祝いの席にふさわしくなります。非常に品のある装いになります。
色柄は、お子さんの華やかな着物を引き立てるため、淡いクリーム、水色、薄ピンク、若草色、品のあるグレーなど、上品で控えめな色合いを選びましょう。
洋装(セレモニースーツ、ワンピース、パンツスタイル)
現代の七五三では、動きやすさや、お子さんのお世話のしやすさから、洋装が主流です。神社での参拝は砂利道や階段も多いため、実用面でも理にかなっています。
- セレモニースーツ:
ネイビーやグレー、ベージュなどの落ち着いた色のセットアップが王道です。
ツイード素材やノーカラージャケットも人気があります。 - ワンピース:
一枚でフォーマル感が決まる、袖付きのワンピースも便利です。
ジャケットやボレロを羽織ると、より「きちんと感」が出ます。 - パンツスタイル:
近年とても増えています。立ったりしゃがんだりすることが多いため、動きやすさを重視するお母様に支持されています。
メンズライクになりすぎない、とろみ素材やデザイン性のあるものがお祝いの席にふさわしいでしょう。

もちろん、ジーンズやTシャツ、ジャージー素材、露出の多い服装(ノースリーブ、深い襟ぐり、短いスカート)はマナー違反ですので避けましょう。足元も、フォーマルなパンプスを選び、スニーカーやブーツは避けてください。
「食事会」まで見据えた最強の選択
もし「お参りの後、そのまま食事会へ行く」スケジュールなら、「洗える素材のストレッチフォーマル」が非常に実用的です。これらは、フォーマル感を保ちながら、以下のようなメリットを兼ね備えています。
- ストレッチ素材で動きやすく、子供のお世話がしやすい
- シワになりにくい素材で、長時間の着用でも美しさを保つ
- 万が一、食事で汚れても自宅で洗濯できる
儀礼と実務(お世話)を両立させる、非常に合理的かつ現代的なソリューションと言えます。
父親・祖父母、親の服装マナー
お父様や祖父母様、ご兄弟の服装も、主役を引き立てる大切な要素です。家族写真のバランスを考えて選びましょう。
父親の服装(スーツとネクタイ)
お父様は、お母様と「格」を合わせることが絶対条件です。一般的にはスーツが主流です。
- ダークスーツ:
最も一般的で間違いがない選択です。
ネイビー(紺)やチャコールグレーの無地のスーツが人気です。
ビジネススーツを流用する場合も、できるだけ暗めで上質なものを選び、シワや汚れのないよう清潔感を第一に。 - ブラックフォーマル(礼服):
ご家族が和装で、格式を重んじる場合に選ぶと、全体が引き締まります。
ネクタイ選びが重要
スーツスタイルが基本となるお父様にとって、ネクタイは家族写真の統一感を左右するキーアイテムです。お祝いの席にふさわしい白やシルバー、または淡い色のものが基本ですが、お母様やお子さんの服装(和装の柄、洋装のスーツ)に使われている色と、ネクタイの色味(暖色・寒色)を合わせると、驚くほどの統一感が生まれます。
祖父母の服装(控えめな装い)
基本マナーは「ご両親よりも一歩控えめな装い」です。主役(お孫さん)を引き立て、ご両親(我が子)を立てる、上品な服装を心がけましょう。お祖父様はダークスーツやジャケットスタイル、お祖母様は落ち着いた色味のスーツやワンピース、アンサンブルなどが一般的です。和装も可能ですが、ご両親より格が高くならないよう、控えめな色無地や付け下げにします。
兄弟・姉妹の服装(制服または控えめな私服)
付き添いのご兄弟・姉妹も、主役より目立たないことが大原則です。幼稚園や学校の制服がある場合、それが最も間違いのないフォーマルウェアとなります。私服の場合は、襟付きのシャツやフォーマルなパンツ、落ち着いた色のワンピースなど、主役と格を揃えつつ、色やデザインは控えめなものを選びましょう。
ご飯会の場所 ホテルや料亭選び
服装と並んで重要なのが、食事会(ご飯)の場所選びです。どこを選ぶかによって、当日の「着替え」や「汚れリスク」への対応が大きく変わってきます。
(1) ホテル・専門式場(ワンストップと着替え)
七五三専用のお祝いプランが用意されていることが多く、安心感があります。着付け、写真撮影、提携神社への参拝、食事がワンストップで完結するプランもあり、移動の手間が省けることも。
- メリット: 最大のメリットは、更衣室や控室が完備されている点です。「和装で撮影・参拝 → 洋装に着替えて食事」という最もスマートな流れが実現可能です。
- デメリット: 予算が高額になりがちです。プラン内容によりますが、大人1人15,000円~28,000円といったプランも見られます。
(2) 料亭・レストラン(個室の重要性)
お祝いの席にふさわしい日本料理や懐石料理が定番です。ホテルよりは予算を抑えつつ(ランチ相場:大人3,000円~5,000円程度)、お祝いの「特別感」を演出できます。
- メリット:
料理の質にこだわりたい場合や、行き慣れたお店でお祝いしたい場合に適しています。 - 必須条件:
必ず「個室」または「お座敷」を予約してください。
この「個室」の価値は、単に家族水入らずでお祝いできる点だけではありません。
慣れない服装で興奮したり、疲れてぐずったりするお子さんがいても、周囲の目を気にせず対応できる「セーフティゾーン」としての価値が極めて高いのです。

最重要:支払いは誰がする? 事前の相談を
食事会の手配において、最大の「地雷」となり得るのが支払い問題です。食事会の費用を「誰が支払うか(両親か、祖父母か)」は、事前に両家で明確に合意しておくことを強くおすすめします。
場所やメニュー(=総予算)の決定は、この支払い問題と直結しています。当日のお会計で譲り合いや押し付け合いになり、せっかくのお祝いムードが台無しになる…という事態を避けるためにも、場所を予約する前に、率直に相談しておくのが家族円満のための必須マナーです。
七五三のご飯で服装を汚さない戦略
ここからは、「七五三 ご飯 服装」と検索する方が最も知りたい、「晴れ着(特に和装)をいかに汚さずに食事会を乗り切るか」という具体的な戦略について、さらに詳しく解説します。

自宅でご飯会を行うメリット
汚れリスク管理の観点から、最も安全でリラックスできる選択肢が「自宅」での食事会です。特に、お子さんがまだ小さい場合や、活発なタイプの場合、この選択は非常に賢明です。
- 汚れリスクがゼロ:
これが最大のメリットです。
万が一汚しても、すぐに着替えさせられます。高価なレンタル着物や正絹の着物を汚す心配から完全に解放されます。 - お子さんの負担が最小:
お参りや写真撮影で疲れたお子さんにとって、移動がなく、疲れたらすぐに横になれる環境は、何より楽です。 - 費用を抑えられる:
外食に比べて費用を大きく抑えられます。 - 周囲に気を使わない:
お子さんが騒いでも、食べこぼしても、親が精神的に疲弊することがありません。
「準備や後片付けが大変」「お祝いの特別感に欠ける」というデメリットを感じるかもしれません。しかし、これらは現代のサービスで解決可能です。
デメリットの解決策:ケータリングの活用
この「準備が大変」「特別感がない」というデメリットは、料亭や専門店の「お祝い会席デリバリー」や「ケータリング」を利用することで解決できます。
手作りのお祝い膳も素敵ですが、当日は親御さんも疲れています。プロの味と華やかな盛り付けを自宅に届けてもらえば、準備と片付けの負担を大幅に軽減しつつ、自宅にいながら「特別感」を最大限に演出できます。これは、現代の家族にとって最も合理的かつストレスフリーな選択肢の一つだと私は思います。

食事会での着替えのタイミング
「晴れ着のまま食事をするのは、やはりリスクが高い」と判断した場合、問題は「いつ」「どこで」着替えるかです。この判断は、勘や希望的観測ではなく、戦略的に決定する必要があります。
「着替える」べきかの判断基準
以下の場合は、無理をせず「着替える」プランを強く推奨します。
- 服装が「レンタル着物」である
汚した場合の追加料金やペナルティが大きいため、リスクは最大です。 - 服装が「正絹(シルク)」である
汚れ落とし(シミ抜き)が非常に困難で高額になります。 - お子さんの性格・年齢
活発でじっとしていられない、または「着物いや!」とぐずるお子さんの場合、無理をさせると親子ともにストレスが溜まり、食事どころではなくなります。 - 食事の場所
レストランや料亭で、着替える場所(更衣室や控室)が確保できない場合。
着替えるタイミングと場所
「着替える」と決めた場合、スムーズな動線を計画しておきましょう。
- 最適解1:
参拝(または写真撮影)が終了し、食事会場へ移動する直前- 場所:
フォトスタジオ(レンタル・着付けをスタジオで行った場合、撮影後にそのまま更衣室で着替えるのが最もスムーズ)、車の中(最終手段)
- 場所:
- 最適解2:
食事会場に到着し、食事を始める直前- 場所:
ホテル・専門式場(予約時に、食事会用の個室とは別に「更衣室」や「控室」が利用可能かを確認・確保します)
- 場所:
- 最適解3:
自宅へ帰宅後- 場所: 自宅(食事会が自宅の場合、または参拝後に一度帰宅し、着替えてから近所のレストランへ行く場合)

着替えた後の服装(スマートカジュアル)
たとえ着替えるとしても、祖父母様も同席するお祝いの席です。Tシャツやジーンズ、ハーフパンツといった普段着に近い服装は、場の雰囲気に適さない可能性があります。
推奨されるのは、フォーマル(儀礼)とカジュアル(日常)の「中間着」ともいえる「スマートカジュアル」な服装です。
- 母親:
きれいめのワンピース、アンサンブル、ブラウス+スカートなど。 - 父親:
襟付きのシャツ(ノーネクタイでも可)、ポロシャツ、スラックスなど。 - 子供:
清潔感のある、動きやすい私服(ワンピース、ポロシャツなど)。
着物汚れ対策とNGな応急処置
「やはり、晴れ着のまま食事をしたい」と決断した場合、それは「運任せ」ではなく、万全の準備と技術(所作)で臨む「ミッション」となります。
晴れ着のまま食事をする場合の「汚れ完全防備」
以下のアイテムを「汚れ防備キット」として当日のバッグに忍ばせ、当日の所作(しょさ)を徹底しましょう。
【持ち物(汚れ防備キット)】
- 【子供用】大型エプロン、またはスモッグ
(衣服全体、特に胸元から膝までを覆うもの) - 【大人用】和装クリップ(または洗濯ばさみ)
(襟元にハンカチを留め、即席ナプキンにするため。袖を留めるのにも使用可能) - 【大人用】大判のハンカチ、または薄手の風呂敷(2枚)
(1枚は膝にかけ、もう1枚は襟元に留めるナプキン代わり) - 【大人用】懐紙(かいし)
(口元の汚れを拭う、小骨などを出す際に口元を隠す、受け皿の代わりなど万能) - 【全員】アルコールフリーのウェットティッシュ
(手口拭き用。着物本体には使わない) - 【全員】緊急シミ吸い取り用の乾いたハンカチ・ティッシュ
【当日の所作(和装の場合)】
- 袖(袂・たもと)の処理(最重要)
食事開始前に、和装で最も汚しやすい長い袖が料理に触れないよう、「おたすけクリップ」で袖をたくし上げて短く留めるか、帯締め(帯の紐)に軽く挟み込みます。これが最も重要です。 - ナプキン(胸元)の設置
和装用クリップを使い、大判のハンカチを襟元(左右の襟が交差するあたり)に挟み込み、胸部全体をガードするナプキンを設置します。 - 膝のガード
もう一枚の大判ハンカチや風呂敷を二つ折りにして、膝(帯の下)にかけます。これにより、膝上への食べこぼしを完全に防ぎます。 - 食べ方
背筋を伸ばし、料理を自分に近づけるのではなく、器を手に持って口元に運ぶ(和食の基本)。遠くの料理に無理に手を伸ばさない(袖が汚れます)。

万が一のNG応急処置と正しい対処
もし汚してしまっても、絶対に以下の行動を取らないでください。慌てて間違った応急処置をすると、シミが定着し、取り返しのつかないことになります。
【絶対NG行動】
- (NG 1) こする
絶対にダメです。汚れが繊維の奥に入り込み、専門家でも落とせないシミになります。 - (NG 2) レストランのおしぼりで拭く
これらには石鹸成分や塩素系漂白剤が含まれていることがあり、着物の染料と化学反応を起こし、シミを永久に定着させたり、変色させたりする最悪の応急処置です。 - (NG 3) お湯・熱湯を使う
繊維が傷み、縮みの原因となります。
【正しい応急処置(素材別)】
着物を汚した場合の対処法は、その着物が「水洗い可能(ポリエステルなど)」か「水洗い不可(正絹など)」かで、180度異なります。
A:正絹(シルク)・ウールなど【水洗い不可】の着物
原則、水分は厳禁です(水シミという別のシミができます)。
まず、ソースなどの固形物があれば、ティッシュで優しく「つまみ取る」(こすらない)。
次に、乾いたティッシュやハンカチをシミ部分にそっと当て、着物の裏側からも当てて、両面から「優しく押さえ」、水分を「吸い取らせる」だけに留めます。
それ以上は外出中は絶対に何もしないでください。帰宅後、できるだけ早く着物専門のクリーニング店に持ち込み、「何(醤油、ソースなど)を、いつこぼしたか」を正確に伝え、「シミ抜き」を依頼します。
B:ポリエステルなど【水洗い可能】の着物
水を使った応急処置が可能です。
上記Aと同様に、まずは乾いた布で水分や固形物を取り除きます。
水を含ませて「固く、固く絞った」別の布(またはアルコールを含まないウェットティッシュ)を用意し、シミの部分を「ポンポンと優しく叩き」、汚れを下の乾いた布に移し取っていきます。
レンタル着物を汚した場合の対応
レンタル品を汚した場合、最も重要なのは「自己判断でシミ抜きを試みないこと」です。
レンタル店への正直な報告が最善策
応急処置は、上記Aの「正絹(水洗い不可)」の対処法(=水分を与えず、吸い取るだけ)に留めるのが最も安全です。下手に市販のシミ抜き剤などを使うと、レンタル店の保険適用外となり、高額な弁償金が発生するリスクがあります。
レンタル店には、速やかに「いつ、何(醤油、ワインなど)を、どの程度こぼしたか」を正直に報告しましょう。多くのレンタルプランには「汚れ安心保険」などが含まれています(加入しているか事前に確認を)。正直な報告が、最善かつ最小の被害で済ませる方法です。

完璧な七五三のご飯と服装計画【まとめ】
七五三という大切な一日を、家族全員の笑顔で締めくくるために。七五三のご飯と服装の問題は、当日の「リスク管理」と「事前準備」がすべてだと私は思います。
「儀礼的な晴れ着」と「実務的な食事」という、相反する二つの事象を両立させるのは簡単なことではありません。しかし、事前にご家族で戦略を立て、準備を整えておけば、当日は心からお祝いに集中できるはずです。
最後に、当日までに確認しておきたいチェックリストをまとめます。
【七五三 当日までの最終チェック】
- 服装計画:
家族全員の「格」は統一されていますか? 主役より目立つ人はいませんか?
父親のネクタイの色は調和していますか? - 食事会手配:
場所は「個室」で予約しましたか? 子供用のメニューは確認しましたか?
費用の支払いは誰がするか、事前に合意が取れていますか? - 汚れ対策(和装で食事に臨む場合):
汚れ防備キット(クリップ、大判ハンカチ、子供用エプロン)は準備しましたか? - 着替え計画(着替える場合):
「いつ」「どこで」「何に」(スマートカジュアルな服)着替えるか、シミュレーションは完璧ですか?
万全の準備をして、当日はお子さんの健やかな成長を心からお祝いし、美味しいご飯を楽しんでください。この記事が、皆様の素敵な七五三の一助となれば幸いです。