お子さまが2歳の誕生日を迎えられ、健やかな成長を喜ばしく思われていることと思います。ふと「七五三」が頭をよぎり、特に「七五三は2歳になったばかりだけど、うちはいつ祝うの?」と疑問に思うのは、とても自然なことです。
この七五三の年齢の数え方は、現代の私たちにとって最初の「悩みどころ」です。伝統的な「数え年」で考えると「満2歳」がお祝いの年になりますが、現代の「満年齢」で考えると「満3歳」です。特にお子さまが2歳になったばかりのタイミングは、ご家族のあいだでも意見が分かれやすい時期かもしれません。
もしお子さまが早生まれだったら、タイミングはさらに難しくなります。「魔の2歳児」とも言われる時期に、慣れない衣装や場所で当日ぐずるのではないかという心配も尽きません。衣装についても、2歳の女の子に合う可愛いものはあるのか、男の子は被布でいいのか、それとも袴なのか。いっそ大変なお参りは後にして、写真だけ先に撮るべきか…など、考え始めるとキリがないほどです。
この記事では、そうした「七五三を2歳になったばかり」で迎える際のあらゆる疑問や不安を一つひとつ丁寧にときほぐしていきます。伝統的な背景から現代の主流、そしてご家庭の事情に合わせた現実的な選択肢まで、じっくりと解説します。この記事を読み終えるころには、ご家族にとって最適な七五三の形がきっと見つかっているはずです。ご家庭に最適な選択肢を見つけるお手伝いができれば幸いです。
- 「数え年」と「満年齢」の基本的な違い
- 満2歳と満3歳、それぞれのメリットと課題
- 早生まれのお子さまが注意すべき点
- 現代の主流となっている賢いお祝いの方法
本記事の内容
七五三、2歳になったばかりの疑問
「七五三は3歳のお祝い」と広く認識されている一方で、なぜ「2歳になったばかり」のタイミングでこれほど多くの方が悩むのでしょうか。それは、七五三という行事が持つ長い歴史と、現代の私たちの生活スタイルとの間に、少しだけズレがあるからです。まずは、その疑問の核心にある、2種類の「歳の数え方」から詳しく見ていきましょう。

数え年と満年齢、どちらが正解?
七五三の年齢で悩む最大の理由、それは「数え年」と「満年齢」という2種類の数え方が存在することにあります。この違いを理解することが、悩みを解消する第一歩です。
伝統的な「数え年」
もともと、七五三を含む日本の多くの伝統行事は「数え年」で行われてきました。
「数え年」は、生まれた日を「1歳」とカウントする考え方です。そして、誕生日ではなく、新年(元旦=1月1日)を迎えるたびに、全国民が一斉に1歳ずつ年を重ねるというルールでした。これは「年齢は個人が重ねるものではなく、新年と共に神様から等しく与えられるもの」という、日本古来の考え方に基づいているとも言われています。
この数え方だと、例えば12月31日に生まれた赤ちゃんは、生まれた瞬間に「1歳」で、翌日(元旦)にはもう「2歳」になっていたわけです。この伝統的な数え方にのっとると、「数え年の3歳」は、現代の私たちの感覚でいう「満年齢の2歳」にあたることがほとんどなのです。
現代の「満年齢」
一方、「満年齢」は、現在の私たちが最も慣れ親しんでいる数え方です。生まれた日を「0歳」とし、翌年の誕生日を迎えるたびに1歳ずつ年を重ねていきます。
この「満年齢」が日本で公的に使われるようになったのは、実は比較的最近のことです。明治35年(1902年)に制定された「年齢計算ニ関スル法律」によって、法律上の年齢は満年齢で計算することが定められました。(出典:e-Gov法令検索「年齢計算ニ関スル法律」) そして、一般の生活にも広く浸透したのは戦後のことです。

ポイントの整理
- 伝統(数え年3歳) → 現代の満年齢2歳にあたる年(例:2022年生まれの子は、2024年中に数え3歳=満2歳を迎える)
- 現代(満年齢3歳) → 3歳の誕生日を迎える年(例:2022年生まれの子は、2025年中に満3歳を迎える)
では、「どちらが正解か?」と問われると、答えは「現代において、どちらも正解」となります。
歴史的には「数え年」がルーツですが、現代の七五三に厳格なルールは存在しません。全国の多くの神社でも、数え年・満年齢どちらのお祝いも分け隔てなく受け入れています。大切なのは、ご家庭の考え方や、何よりお子さまの成長のペースに合わせて、最適なタイミングを選ぶことです。「2歳になったばかり」で検討するのも伝統に即した立派な選択ですし、3歳になってから検討するのも現代的で合理的な選択と言えます。
2歳と3歳、お祝いはどっち?
「数え年(満2歳)」と「満年齢(満3歳)」。どちらも正解であるならば、何を基準に選べばよいのでしょうか。ここでは、それぞれのタイミングでお祝いするメリットと、考慮すべき点を具体的に比較してみましょう。
選択肢1:満2歳(数え年)でお祝いする
これは、伝統にのっとったタイミングでのお祝いです。
最大の魅力は、その年齢でしか見られない「あどけなさ」を晴れ着姿で残せることに尽きます。ふっくらとした頬、おぼつかない足取り、まだ赤ちゃんらしさが色濃く残る表情。被布(ひふ)と呼ばれるベストのような着物を着た姿は、まるで小さなお人形さんのようで、格別な愛らしさがあります。3歳になると、顔つきも体つきも一気に「お兄さん・お姉さん」らしくなりますから、この瞬間の姿は、まさに「今しか撮れない貴重な記録」となります。
また、ご兄弟・ご姉妹がいる場合、例えば「5歳の兄と数え3歳の妹」のように、上の子のタイミングに合わせて一度にお祝いを済ませられる、という実利的なメリットもあります。
この選択は、七五三を「お子さまの成長の記録(=写真)を残すこと」に重きを置くご家庭に向いていると言えます。
選択肢2:満3歳(満年齢)でお祝いする
こちらは、お子さまが3歳の誕生日を迎える年にお祝いする、現代では多く選ばれている主流のタイミングです。
最大の魅力は、お子さま自身が「お祝い」をある程度理解し、一緒に楽しめることです。満3歳にもなると、言葉でのコミュニケーションがかなり取れるようになります。「今日は〇〇ちゃんが主役だよ」「神様に『大きくなりました』ってご挨拶しに行こうね」「可愛いお着物着て嬉しいね」といった声がけを理解し、お祝いの体験を家族で共有できる可能性が高まります。
体力も満2歳の頃とは格段に違います。長時間の着付けや神社でのご祈祷、写真撮影にも耐えられるようになり、保護者の負担も大きく軽減されます。写真撮影でも、カメラマンの「笑って」「千歳飴持って」といった指示に従って、しっかりポーズを取れる子も増えてきます。
この選択は、七五三を「家族みんなの楽しい思い出(=体験)を作ること」に重きを置くご家庭に向いていると言えるでしょう。
家族内での意見調整も大切に
この問題は、パパ・ママだけでなく、おじいちゃん・おばあちゃん世代の意見も関わってくることがあります。「私たちの時代は数え年だった」というご意見と、「子どもの負担がない満年齢がいい」というご意見がぶつかることも。どちらの意見も、お子さまを思う気持ちは同じです。それぞれのメリット・デメリットを家族みんなで共有し、ご家庭の事情(祖父母が遠方に住んでいる、など)も考慮して、みんなが納得できるタイミングを探せると良いですね。
満2歳のお祝いは「ぐずる」覚悟も
伝統的な「満2歳」でのお祝いは、その愛らしい姿を残せるという大きな魅力がありますが、同時に高いハードルがあることも事実です。それが、「魔の2歳児(イヤイヤ期)」の問題です。
2歳前後は、自我が芽生え、「なんでも自分でやりたい」「でもうまくできない」という葛藤と、「これはイヤ!」という自己主張が最も激しくなる時期。一方で、七五三の儀式は「大人の都合」で進む場面がほとんどです。
「じっとする(着付け、ご祈祷)」「いつもと違う服を着る(着物、足袋)」「慣れない場所に行く(神社、写真館)」…これらはすべて、2歳のお子さまが最も苦手とすることばかりです。
警告:「満2歳」の七五三は試練の連続です
保護者にとっては、まさに「試練」となる可能性を秘めています。朝早くからの着付けでまず一戦、慣れない草履を嫌がって一戦、神社への移動の車で寝てしまい機嫌が悪くなって一戦、ご祈祷中に飽きて騒ぎ出して一戦…。当日は、お子さまが「ぐずる」ことを前提としたスケジュールと心の準備が不可欠です。
では、具体的にどのような対策が考えられるでしょうか。
対策1:着付け・衣装で嫌がるとき
2歳のお子さまは感覚が非常に敏感です。着物の締め付け、チクチクする肌触り、足袋の違和感を極端に嫌がるケースは少なくありません。無理に着せようとすると、その後の機嫌をずっと損ねてしまいます。
- 事前に練習する:
足袋だけ先に買って、室内で履く練習をしておく。 - 気を逸らす:
着付けの最中は、大好きなお菓子やジュース、スマートフォンやタブレットで動画を見せるなど、最終手段も用意しておきます。 - 妥協する:
どうしても草履を嫌がったら、移動中は履き慣れたスニーカーや可愛いフォーマルシューズに切り替えます。
神社に着いて、写真撮影の瞬間だけ履き替える、という割り切りも大切です。髪飾りも同様です。
対策2:神社でじっとできないとき
神社でのご祈祷は、待ち時間を含めると1時間以上かかることも珍しくありません。慣れない衣装で静かに座っていることは、2歳児にとって至難の業です。
- 時間帯を選ぶ:
七五三シーズンの週末(11月の土日)は最も混雑します。
平日にずらす、あるいは朝一番の空いている時間を狙うだけでも、待ち時間は大幅に短縮できます。 - ご祈祷のスタイルを選ぶ:
神社によっては、短時間で済ませてくれる場合や、一組ずつ丁寧に対応してくれる場合があります。
事前に神社の混雑状況やご祈祷の所要時間を確認しておきましょう。 - 最終手段:
音の出ないお気に入りのおもちゃや絵本を、こっそり持参するのも一つの手です。
満2歳でのお祝いを選択する場合は、「完璧を目指さないこと」が何よりも成功の鍵です。泣き顔も、寝顔も、走り回る姿も、すべてがその時の「記録」です。「ちゃんとした写真を残さなきゃ」と大人が必死になるほど、お子さまはプレッシャーを感じてしまいます。お子さまの様子を最優先し、臨機応変に対応する柔軟な姿勢が求められます。

早生まれの子は満3歳がおすすめ
「2歳になったばかり」で悩む保護者の中でも、特に注意深くタイミングを検討していただきたいのが、「早生まれ」(1月1日〜4月1日生まれ)のお子さまです。
早生まれのお子さまは、同じ学年のお友達(例えば4月2日生まれの子)と比べると、最大で約1年の月齢差があります。この差は、幼児期において非常に大きいものです。
もし、この早生まれのお子さまが、伝統的な「数え年3歳」でお祝いをしようとすると、どうなるでしょうか。
| 生まれ | お祝いの年(数え年3歳) | その時点での満年齢 |
|---|---|---|
| 2023年3月1日 生まれ | 2025年(秋) | 満1歳8ヶ月 |
| 2023年1月15日 生まれ | 2025年(秋) | 満1歳10ヶ月 |
上の表のように、数え年3歳でお祝いしようとすると、満年齢では「1歳後半」という、さらに幼い時期に七五三を迎えることになってしまいます。
満1歳代後半というと、歩行が安定してきた頃ではありますが、体力的にも、言葉の理解力や我慢強さの面でも、満2歳の子よりもさらに負担が大きくなることは想像に難くありません。人見知りや場所見知りも激しい時期と重なることが多く、保護者の想像以上に大変な一日になる可能性が非常に高いです。
そのため、早生まれのお子さまに関しては、地域やご家庭に特別な事情(「この日しか親族が集まれない」など)がない限り、伝統にこだわらず「満年齢3歳」でお祝いするのが一般的です。
満3歳(翌年)を選ぶメリット
翌年の秋(満3歳半ば)にお祝いすれば、同学年のお友達と近いタイミングでお祝いすることにもなります。お子さま自身も「〇〇ちゃんも着物きた!」と、お友達との共通の体験として楽しめるかもしれません。お子さまの心身の成長段階を考慮した、最も理にかなった選択だと私は思います。
兄弟姉妹と同時にお祝いしたい場合(例えば5歳の兄と、早生まれで数え3歳の妹)でも、あえて妹さんだけ翌年にずらし、満3歳でゆったりお祝いしてあげる、というご家庭も増えています。

満3歳でお祝いする安心感
一方で、現代の主流である「満3歳」まで待つことには、多くのメリット、特に保護者にとっての「精神的な安心感」があります。満2歳でのお祝いが「試練」になり得るのに対し、満3歳でのお祝いは「喜びを分かち合う」イベントになりやすいのです。
1年違うだけで、お子さまの成長は驚くほどです。満3歳になると、具体的にどのような「安心感」が得られるのでしょうか。
1. コミュニケーション能力の向上
これが最大のメリットかもしれません。満3歳になると、大人の言うことをかなり理解できるようになり、自分の意思も言葉で伝えられるようになります。
- 事前の「言い聞かせ」が可能に:
「今度、〇〇ちゃんが大きくなったお祝いに、神様のところへ行くよ」
「可愛いお着物着て、写真撮ろうね」
といった予告が理解できます。
お祝い当日を楽しみにしてくれる子もいるでしょう。 - 自分が主役だと認識できる:
周囲から「おめでとう」「可愛いね」と声をかけられることで、自分が祝福されていることを理解し、誇らしげな表情を見せてくれることもあります。 - 意思疎通ができる:
「おしっこ行きたい」「足が痛い」など、不快なことを言葉で伝えられるため、大人が先回りして対処できます。
2. 体力・忍耐力の向上
満2歳の頃に比べて体力がつき、昼寝の回数が減ったり、時間が短くなったりと、生活リズムが安定してきます。ある程度の時間であれば、我慢ができるようにもなってきます。着付けやご祈祷、写真撮影といった七五三の一連の流れを、ご機嫌なまま乗り切れる確率が格段に上がります。
3. トイレの不安軽減
保護者にとって切実な問題が「トイレ」です。満3歳になると、トイレトレーニングが完了、あるいは見通しが立っている場合が多くなります。慣れない着物を着た状態での「おむつ交換」や「おもらし」の心配が減ることは、保護者にとって非常に大きな安心材料です。
写真撮影での大きな違い
満3歳になると、写真撮影の質も変わってきます。満2歳では、泣き顔や自然な(あるいは無表情な)姿がメインになりがちなのに対し、満3歳ではカメラマンの指示を理解し、「千歳飴の袋を持って、こうやって立ってみようか」といった「七五三らしい」ポーズでの写真を撮りやすくなります。お子さまの「笑顔」や「成長した凛々しい姿」を写真に残したい場合には、満3歳がおすすめです。
このように、七五三を「伝統行事をこなす日」ではなく、「お子さまの成長を家族みんなで楽しむ日」と捉える現代の価値観には、お子さまも保護者も余裕を持って臨める「満3歳」でのお祝いが、非常に合っているように感じます。
うちの子はいつ?年齢早見表
ここで改めて、ご自身のお子さまがいつお祝いのタイミングにあたるか、目安となる早見表を掲載します。お子さまの生まれ年と照らし合わせて、ご家族の計画にお役立てください。(※2025年秋(11月15日頃)にお祝いする場合の目安です)
| お子さまの生まれ年 | 伝統(数え年3歳) | 満年齢 | 現代(満年齢3歳) | 満年齢 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年 (R3) | 2023年 | 満2歳 | 2024年 | 満3歳 |
| 2022年 (R4) | 2024年 | 満2歳 | 2025年 | 満3歳 |
| 2023年 (R5) | 2025年 | 満2歳 | 2026年 | 満3歳 |
| 2024年 (R6) | 2026年 | 満2歳 | 2027年 | 満3歳 |
早生まれ(1月〜4月1日生まれ)の方への補足
例えば「2023年2月」生まれ(早生まれ)のお子さまは、上の表では2025年が「数え年3歳(満2歳)」の年にあたります。2025年秋の時点では「満2歳8ヶ月」です。
一方、同学年の「2022年5月」生まれのお子さまは、2025年秋には「満3歳6ヶ月」で「満年齢3歳」のお祝いを迎えます。このため、早生まれのお子さまは、同学年のお友達と合わせるために、あえて1年遅らせて2026年(満3歳8ヶ月)にお祝いするケースが主流となっています。
お祝いの時期について
七五三の日は伝統的に11月15日とされていますが、現代では10月から11月にかけての週末や吉日に行うのが一般的です。混雑を避けるために、あえて9月や12月にずらすご家庭も増えています。時期についても、ご家族の都合に合わせて柔軟に決めて問題ありません。
※年齢の数え方やお祝いの時期は、地域や神社によっても慣習が異なる場合があります。あくまで一般的な目安としてご参照ください。ご不明な点は、お参りを予定している神社に直接確認するのが確実です。
七五三で2歳になったばかりの最適解
ここまで、「満2歳(数え年)」と「満3歳(満年齢)」、それぞれのメリット・デメリットを詳しく見てきました。「満2歳のあどけなさ」も捨てがたいし、「満3歳になってからのお参り」も魅力的。どちらか一方を選ぶのが難しい、とさらに悩んでしまった方もいらっしゃるかもしれません。
ここからは、衣装の準備に関する具体的なアドバイスと、その悩みに対する最も合理的で現代的な「第三の選択肢」についてご紹介します。

女の子も可愛い衣装がある?
もし「満2歳」でお祝いすると決めた場合、次に気になるのが衣装ですよね。「こんなに小さいのに、着られる着物なんてあるの?」と心配されるかもしれませんが、結論から言えば、レンタル・購入ともに可愛い衣装が豊富に揃っています。
3歳の女の子の七五三衣装は、「被布(ひふ)」と呼ばれる、ベストのような形の上着を着るスタイルが一般的です。
これは、7歳の七五三で使うような固い「帯」をお腹に巻くのではなく、着物の上からふんわりと羽織るものです。そのため、お腹周りの締め付けが少なく、着付けも非常に簡単というメリットがあります。小さなお子さまの体型や、まだ苦しさを我慢できない年齢であることを考慮した、非常に合理的な衣装です。
レンタルの場合、満2歳のお子さまの平均身長(80cm~90cm前後)に対応した被布セットが多数用意されています。セットには通常、着物、被布コート、長襦袢(下着)、足袋、草履、巾着(きんちゃく)、髪飾りなどがすべて含まれていることが多く、ご自身で細々と用意する必要がないため手軽です。
髪型や小物について
2歳頃だとまだ髪の毛が少なかったり、短かったりするお子さまも多いです。その場合は、無理に日本髪を結おうとせず、パッチン留めタイプの可愛い髪飾りや、ヘアバンドタイプの飾りで十分です。最近は、装着が簡単な「つけ毛(ウィッグ)」も人気があります。
草履も、前述の通り嫌がる可能性が高いため、神社での写真撮影用と割り切り、移動用には履き慣れた靴を必ず持参しましょう。
男の子は被布が一般的
男の子の七五三といえば、5歳で着る「羽織袴(はおりはかま)」の凛々しい姿をイメージされる方が多いかもしれません。
しかし、3歳(満2歳)のお祝いでは、男の子も女の子と同様に「被布(ひふ)」を着るのが一般的です。これは、女の子と同様に「帯で締め付けない」という、お子さまの負担を軽減するための知恵です。
もちろん、2歳児用の小さな羽織袴セットも存在しますし、「男の子だから袴を」と考えるご家庭もあります。しかし、袴は着付けの難易度が上がるうえ、着慣れないお子さまが動き回るとすぐに着崩れてしまいます。また、トイレの際も非常に大変です。
その点、被布であれば、着付けの負担や動きやすさの面で、はるかに現実的です。レンタル市場でも、黒、白、水色、グレーなど、男の子向けの落ち着いた色合いや、鷹や兜といった勇ましい柄の被布セットが豊富に用意されています。
男の子の袴はいつから?
もともと七五三は、3歳「髪置(かみおき)」、5歳「袴着(はかまぎ)」、7歳「帯解(おびとき)」という、宮中や武家の儀式が由来とされています。このうち、「袴着」は男の子が初めて袴を着る儀式で、5歳で行われていました。この名残から、5歳の七五三では羽織袴を着るのが主流となっています。
3歳(満2歳)で被布を着てあどけない姿を残し、5歳で羽織袴を着て成長した凛々しい姿を見る、という2段階の楽しみがあるのも良いものです。
賢い選択は「写真だけ」
さて、ここまで読み進めて、「やっぱり2歳のあどけない姿も残したい」「でも、ぐずるのは分かっていて大変な思いをするのも…」と、板挟みになっている方も多いでしょう。
そんな方々へ、現代の多くのご家族に選ばれている、最も合理的で賢い「第三の選択肢」をご紹介します。それは、「写真撮影」と「神社へのお参り」を別々の年(別日)に行うという方法です。
具体的には、まずお子さまが満2歳のうちに、写真スタジオで「前撮り(まえどり)」または「後撮り(あとどり)」として記念撮影だけを済ませてしまいます。
これには、計り知れないほどのメリットがあります。
メリット1:お子さまファーストの撮影が可能
スタジオ撮影であれば、お子さまのご機嫌や体調を最優先にスケジュールを組めます。万が一、当日機嫌が悪くても、撮り直しが可能なスタジオも多いです。空調が完備された快適な空間で、長時間の移動や天候の心配もありません。
メリット2:プロの技術で最高の「記録」を残せる
写真スタジオのスタッフは、まさに「子どものご機嫌を取るプロ」です。おもちゃや声かけで注意を引きつけ、一瞬の笑顔を逃さず撮影してくれます。「魔の2歳児」でさえ、プロの手にかかれば最高のモデルに変身できるかもしれません。衣装も和装だけでなく、洋装(ドレスやタキシード)など、複数着られるプランも多く、2歳ならではの愛らしい姿を高品質な「記録」としてしっかり残せます。
メリット3:お参り当日の負担がゼロになる
最大のメリットはこれかもしれません。お参り当日に「写真も撮らなきゃ」というプレッシャーが一切なくなります。当日はお参りとご家族での会食だけに集中できるため、スケジュールに余裕が生まれ、保護者の精神的負担が激減します。

「早撮り(はやどり)」のお得さ
多くの写真スタジオでは、七五三シーズンの混雑を避けるため、4月〜8月頃に「早撮りキャンペーン」を実施しています。この時期に撮影すると、撮影料金が大幅に割引されたり、特典(写真データ追加、お参り当日の着物レンタル無料など)が付いたりすることが多く、費用面でも非常に賢い選択と言えます。
お参りは3歳でゆっくりと
そして翌年、お子さまが満3歳になったタイミングで、改めて神社へのお参り(ご祈祷)を行います。
この時、ご家族はどのような状態でしょうか?
まず、お子さまは3歳になり、体力も理解力も向上しています。そして何より、保護者には「写真撮影」という大きなミッションがないため、心に圧倒的な余裕があります。「ちゃんとした写真を撮らなくちゃ」という焦りがないため、お子さまが少しくらいはしゃいでも、笑顔で見守ることができるでしょう。
お子さま自身も、満2歳の時には理解できなかった「お祝い」の雰囲気を肌で感じ、「神様に『大きくなりました』とご挨拶しようね」という言葉の意味を理解し、家族と一緒にお祝いの「体験」を共有できるはずです。

お参り当日の服装はどうする?
「写真」と「お参り」を分けた場合、お参り当日の服装にはいくつかの選択肢が生まれます。
- 再び着物を着る:
写真スタジオの「お参りレンタルプラン」(早撮りの特典で無料になることも)を利用して、満3歳に合ったサイズの着物をレンタルする。
満2歳の時とはまた違う、成長した着物姿を見ることができます。 - フォーマルな洋装にする:
動きやすさを最優先し、ワンピースや(男の子なら)小さなスーツなど、フォーマルな洋装で参拝する。
お子さまの負担も少なく、着付けや天候の心配もいらない、非常に現実的な選択肢です。
どちらを選んでも、お子さまの成長を祝う気持ちに変わりはありません。写真という「記録」は2歳で既に完璧に残してあるのですから、3歳のお参りは純粋に「体験」として、ご家族が最もリラックスできる服装で臨むのが良いと私は思います。
お参りの後は、ご家族や祖父母と食事会(会食)を開くのも良いですね。その際は、神社でいただく「初穂料(はつほりょう)」の準備も必要になります
また、お参りに同行する保護者の服装に悩まれる方も多いですが、主役はお子さまですので、控えめなフォーマルウェア(スーツやワンピース)が一般的です。
七五三、2歳になったばかりの選択肢【まとめ】
「七五三 2 歳 に なったばかり」という検索の背景には、伝統を大切にしたい気持ちと、現実的な子育ての悩み、そして何よりもお子さまへの深い愛情が入り混じった、保護者の皆様の真剣な思いがあるのだと感じます。
この記事でご紹介してきたように、現代の七五三に、たった一つの「正解」はありません。大切なのは、インターネットの情報や昔からの慣習に振り回されることではなく、ご自身のお子さまの成長段階や性格(人見知り、場所見知り、体力、イヤイヤ期の度合いなど)を一番よく理解している保護者が、ご家庭の事情に合わせて「これなら家族みんなが笑顔になれる」という方法を選ぶことです。
最後に、ご紹介した3つの選択肢をもう一度まとめます。
ご家族に合った選択肢はどれですか?
- 【伝統派】(満2歳でお祝い)
- メリット:2歳ならではの「あどけない姿」を記録に残せる。
- 覚悟:当日の「ぐずり」や負担は覚悟し、完璧を目指さない。
- 【現代派】(満3歳でお祝い)
- メリット:子どもの負担が最小限で、家族全員で「楽しい思い出」を作りやすい。
- 懸念:満2歳の頃の赤ちゃんらしさは失われている。
- 【戦略派】(2歳で写真・3歳で参拝)
- メリット:満2歳の「記録」と、満3歳の「体験・思い出」の両方を享受できる。
- 懸念:費用や手間が2回に(スタジオのプラン次第で解決可)。
どのお祝いの形を選んだとしても、お子さまの健やかな成長を願い、「大きくなったね、おめでとう」とお祝いするそのお気持ちこそが、七五三という行事の最も大切な本質です。
この記事が、ご家族にとって最高の七五三を計画するための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。